ホームデータについて › 方法論
🔬 方法論

方法論と、検証の記録

このページは、集計の中身を確かめたい方に向けたものです。私たちが何を間違えたかも書いています。数字を扱う以上、誤りは出ます。隠さずに残すことが、次の数字の信頼につながると考えています。

このページに書いてあること

評価の並べ方の補正

相場ページの院リストは、口コミ件数を考慮して補正した評価の順に並べています(表示している★は生の数字)。件数の少ない院の平均は揺れが大きいため、全体平均へ少し引き戻しています。

記号意味実測値
σ²口コミ1件あたりのばらつき(院内分散の平均)0.570
τ²院ごとの実力のばらつき(掲載候補 n≥100 の集団)0.032
C事前重み = σ²/τ²17.7件相当

補正後の評価 = (生の評価 × 件数 + 全体平均 × C)÷(件数 + C)

Cはコードに焼き込まず、毎回データから推定しています(souba_common.rating_shrinkage())。母集団が変われば適正値も変わるためです。

この補正について、正直に書いておきます

検証を始めた当初、私たちは事前重みを根拠なく300件相当と置いていました。それだと掲載院が総入れ替えになり「補正は大きく効く」という結論が出ましたが、それは強すぎる補正が作り出した見かけでした。推定値(17.7)に直すと、入れ替わりは48院中9院(19%)にとどまります。

さらに、当初「口コミが多い院ほど評価が低い」という表を出しましたが、これは評価4.2以上に絞った後の集団で比べたものでした。絞りを外すと平均はむしろ上がります(10〜50件で4.185、300〜1,000件で4.365)。切断された標本どうしを比較していた誤りです。

結論として、この補正は必須ではなく保険です。掲載条件が口コミ100件以上で、その水準での評価の信頼性はすでに0.85あります。

評価はどれだけ安定しているか

同じ院の口コミを2つに分けて、それぞれの平均を比べました(分割半信頼性)。

条件相関Spearman-Brown補正後
口コミ20件以上(780院)+0.7390.850
口コミ80件以上(392院)+0.8560.922
口コミ320件以上(106院)+0.9170.957

時期を前後で割った場合でも +0.68〜+0.76。評価は安定したものを測っています。信頼性 τ²/(τ²+σ²/n) は100件で0.85、300件で0.94。

定点観測の設計

静止画では方向が分かりません。「値引きが多い」施術が、認知獲得のために値引く新規なのか、数量を取るために値引く成熟なのかは、同じ顔をします。区別できるのは変化の方向だけで、それには同じ定義で繰り返し測る必要があります。

系列基準時点測っているもの
検索順位2026-07-17媒体上の結果
施術指標2026-07-21市場がどう動いたか
院ごとのメニュー特徴2026-07-25各院が何をしたか

定義は凍結します。一度記録を始めたら変えません。定義が変わると系列が断絶し、それまでの記録が比較不能になるためです。定義を見直したくなったときは、列を追加します。

収集の頻度は、変化の速さから決めています。順位は口コミ数の降順なので、隣の順位との件数差(中央値16件)を口コミの増加速度(上位院で1日2.88件)で割ると、5日程度で入れ替わりうる。実測でも1日で4.9%の順位が動いています。ただし見たいのは「今日の1位」ではなく数ヶ月の傾向なので、週次で足ります。

検証の規律

いずれも、実際に踏んだ失敗から作ったものです。

1分母を必ず出す。割合だけを信じない
2測定の対称性。深さ・期間・条件が違うものを比較しない
3平均ではなく中央値。価格は外れ値が桁で効く
4時系列は増加分を取り除いてから季節性を語る
5型を疑う。数値に見える列がテキストのことがある
6綺麗すぎる数字は、関係ではなく同一物を疑う
7大きすぎる変化は、まず測定の破損を疑う
8型変換は黙って壊れる。エラーが出ないことは正しさの保証にならない
9移動平均を使うときは、全期間が同じ年数だけ観測されているか確認する
10時点×媒体で1行の表は、対象単位に畳んでから平均する
11件数の閾値で顔ぶれが変わる分析は、閾値を明記し一般化しない
12「一致率」は定義を書く。集合の重なりか、順位まで一致かで数字が変わる

訂正の記録

公開前の検証で見つけ、修正したものです。

いつ何を誤ったかどう直したか
院リストで、定価表と実売を混ぜて相場と比較していた実売のみで比較。掲載48院中24院が入れ替わった
症例の価格をそのまま数値変換していた(テキスト列)「512,000円」が512になる誤り。専用の解析処理へ
季節性を「年内シェア」で測り、1.87倍と算出増加分を除去して1.29倍。最少月も入れ替わった
順位の1月分を7月と比較し「86%入れ替わり」と算出1月データが複数回収集の混在で破損。比較を撤回
評価の補正の強さを根拠なく300件相当と設定データから推定して17.7。効き幅は当初の見立てより小さい
症例数と評価の散布図が実データではなく作図だった実データ(医師918名)に差し替え
日本の相場リストに所在地不明の院(韓国の院を含む)が入りうる状態だった所在地が取れている院に限定

言えないこと

因果は言えません。観測データであり、施策の割り当てはランダムではありません。「値引きしたから口コミが増えた」のか「集客できている院が値引きもしている」のかは区別できません。

媒体内の露出は観測できていません。特集枠・検索のサジェスト・アプリの通知など、外から見えない導線があります。私たちが測れる相関は、すべてその見えない部分と交ざっている可能性があります。

口コミ数は市場規模の代わりになりません。2022→2025の5.9倍増は、院数1.7倍 × 1院あたり3.4倍に分解できます。増加の大半は媒体内の投稿密度であり、市場の拡大とは限りません。
データの提供・共同調査について 集計の元データや、ここに載せていない切り口での分析をご希望の場合はご相談ください。
法人向けの詳細 ›